INTERVIEW
インタビュー
子育てしながら特技を活かし起業
パソコンで多くの人の人生を豊かに

BOKUSUL
代表 大森真菜美さん(35)
岩手県久慈市出身
経歴
- 2012年~2016年2月
- 大手家具メーカーの設計職
- 2016年~2023年3月
- もりおか女性センター職員(パソコン講座講師および起業担当)
- 2022年8月
- BOKUSUL設立
- 2023年1月
- 盛岡市ビジネスプランコンテスト大賞・観覧者特別賞受賞
EPISODE
コロナで働き方に変化 得意なパソコン活かし起業
起業したきっかけを教えてください
大手家具メーカーの設計職をしていましたが、夫の転職に伴い岩手県に戻ることになったため退職しました。出産もあり、育休明け後にもりおか女性センターに就職し、イベントの企画・運営やパソコンサポートとともに、起業担当をさせていただきました。私自身がもともと起業をしたいと考えており、起業家の方と向き合いながら支援をしていくことでその気持ちが一層強くなりました。
最終的に起業を決断したのは、新型コロナウイルスの流行がきっかけです。第2子の出産直後、コロナ禍になり、育休明け後も出社や仕事ができない期間がありました。小さな子どもがいるので、普通の風邪でも1週間くらい出社を控えざるを得ないことも出てきました。
起業をして在宅勤務が可能になれば子どもの急な病気にも対応できるようになります。また、好きなパソコンでの仕事もずっと続けることができるということも大きな魅力でした。そこで起業を決意しました。もりおか女性センターは申請すれば副業が可能だったので、BOKUSUL設立当初はセンターの職員として働きながら、事業をスタートさせました。

EPISODE
ホームページ制作や動画編集 子どもが楽しく学ぶパソコン教室も
現在行っている事業の内容を教えてください
制作関係では、ホームページ制作、動画編集、チラシや資料作成などです。教育関係では、パソコンサポート、子ども向けパソコン教室、オンラインスクールをしています。売上割合としては、企業や個人事業主の方から依頼のあるホームページ制作と動画編集が大きくなっています。
パソコンサポートは、主にWord、Excel、PowerPointなどのパソコンの基本的な使い方をマンツーマンでお伝えする家庭教師のようなものです。子ども向けパソコン教室は、主に小学生を対象にプログラミングや動画編集を含めた学習を行っています。
子ども向けパソコン教室を始めるきっかけは、私自身の子ども2人が毎日楽しそうにYouTubeを見ている姿でした。「そんなに動画を見るのが好きなら動画を作ることも楽しめるのでは」と思ったのが始まりです。実際に教室に来る子どもたちも、本当に生き生きと楽しそうに取り組んでいます。

EPISODE
意欲や集客につながる準備を 子育てと仕事の両立
起業をする際にどんな準備をしましたか
起業に向けて▽屋号を決める▽専用のSNSを準備する▽専用のホームページをつくる▽名刺を準備する▽専用口座を準備する―の5つが大事だと思って行いました。
自身の想いを屋号にすることで起業の意欲が高まります。BOKUSUL(ボクスル)という屋号は「僕がするよ」の意味と、「BOXFUL(箱一杯)」という英単語を組み合わせて、パソコンという箱にたくさんのサービスを詰め込んで提供するという想いを込めました。
SNSやホームページは、面識がない人でも検索で見つけてもらえばお客様になる可能性があるため、持つべきだと思います。名刺も準備をしておくと、異業種交流会などで交換した際に、後から思い出してもらい、仕事につながることがあります。
事業専用口座は、事務作業の効率を考えると事業専用のものを作り、入出金の記録をしっかり残しておくのが望ましいです。屋号で口座を開設できるところもあるので、個人名よりは会社名の方がお客様に安心感を与えることができます。
また、事業開始直後の集客に関しては、私の場合、自分のスキルを投稿するとそのスキルを求めている方が仕事を依頼してくる形のサイトを活用し、事業を進めていきました。
起業後に苦労したことや失敗体験を教えてください
起業して大変だったことは2つあります。1つ目は時間のやりくりです。私には現在9歳と5歳の子どもがいます。育児や送り迎えなど、最初のころはスケジュールの調整が難しく、限られた時間で集中して作業を進めたり、子どもが寝た後に作業をしながら、なんとか対応していました。
また、大事な仕事の時に子どもが熱を出すことも少なくありません。そのため、事前に「この日は講座があるので、何かあったらよろしく」と夫婦間で日付や時間を共有し、対応できるようにしています。どうしても夫婦間で対応できない時はファミリーサポートセンターや病児保育を利用することもあります。
2つ目は資金繰りの問題です。私の事業では企業への納品後に請求書を発行し、月末締めの翌月払いというケースが多くあります。入金までに時間が掛かり、その間に必要な経費が発生して、やりくりが大変な時もありました。今振り返ると、事前に資金調達先を決め、体制を整えておくべきだったと思います。
起業をして良かったことはどんなことですか
制作する立場では、個人事業主として制作したものを納品しないと収入を得ることができません。私の場合、自分で受注から納品まで一貫して行い、無事に納品を終え収入を得られた瞬間は本当にうれしいです。
子ども向けパソコン教室では、自分で覚えてどんどん先に進む子もいて、楽しいものに取り組むということはこんなに生き生きとするものなのかと実感します。指一本でタイピングしていた子がブラインドタッチをしようと頑張っている姿、まだ小学校低学年で習っていないアルファベットをキーボードで覚えて打つ姿など、子どもたちの成長を日々感じられるのも大きな喜びです。
また、盛岡地域ビジネスプランコンテストで大賞を受賞したことも忘れられません。起業当初これからの事業内容の確認の意味も込めて、子ども向けパソコン教室のプランを発表したのですが、大賞という評価をいただけたことで、「このビジネスでやっていける」という安心感につながりました。

EPISODE
学びの機会を増やす 雇用創出や企業コラボも構想
今後の事業の展望について教えてください
ホームページ制作や動画編集など現在は制作作業が多いですが、今後は教えるという方向にもう少し舵をきれればと思っています。子ども向けパソコン教室も、教員を目指している大学生の方にアルバイトとしてプログラミングを教えてもらったり、フルタイムは難しくても短時間なら働けるという子どもをお持ちの方に講師として関わってもらうことも検討しています。
また、構想段階ですが、動画制作のニーズがある企業とパソコン教室で動画制作に取り組む子どもたちをマッチングできればとも考えています。子どもが作った動画で企業のPRにもつながり、子どもにとっても「自分の作ったものが世の中に出る」という成功体験になるはずです。
ただ、子どもたちの動画を無償で提供するわけではなく、何かしらの形で価値が還元される仕組みにしたいと考えています。直接的な報酬ではないですが、「ありがとう」という感謝の気持ちや、それに見合う特典や経験を得ることで自分のスキルが誰かの役に立っていることを実感できるような仕組みにできればと思います。
BOKUSULの使命は「できないをできるへ」。さらに「できるを超えた、ワクワクする毎日」を提供し、パソコンを通じていろいろな人の人生を豊かにしていきたいです。

EPISODE
岩手から全国へ挑戦可能 明確な目標が起業の近道
起業家にとって岩手県はどんな地域だと思いますか
岩手県は起業をされている方が少ないと私は感じています。ただ、少ないからこそ岩手で起業するという時点で注目される可能性は高いと思いますし、特に私のように、パソコンを使って仕事を行うサービスを提供する場合、岩手からでも全国を相手に販売するチャンスを得やすいとも感じます。
行政の起業を後押しする活動も増えてきて、補助金も多くなってきています。以前からあった自治体が実施する起業塾に加えて盛岡市でも地域人材育成ネットワーク事業による起業家人材の育成などが行われています。起業に対して優しい環境になってきていると思います。
これから起業を目指している方へアドバイスをお願いします
自分がしたいことや達成したいことがあるならば、起業も1つの選択肢だと思います。仕事をしている方や家庭を持っている方などは、忙しい中で同時並行していくことになりますが、やってみれば何とかなります。心配ならば副業から始めるのも1つの方法です。自分の中でいつまでにやりたいという期限や具体的な目標の数字を決め、それを追いかけるような形で起業の準備を進めることが大事だと思います。

会社情報
- 会社名
- BOKUSUL
- 設立
- 2022年8月5日
- 代表者
- 代表 大森真菜美
- 所在地
- 岩手県盛岡市
- 企業ホームページURL
- https://bokusul.com/