スタートアップいわて

INTERVIEW

インタビュー

在学中の支援活動きっかけに起業
お客様と共に歩むコンサルタント

Next IWATE
代表 上野裕太郎さん(22)

岩手県一関市出身

経歴

2023年1月
Next IWATE開業 代表就任
2023年7月
一般社団法人デジタルラボ一関開業 理事就任
岩手県政策メンター(若者活躍分野)就任
2024年4月
株式会社東北地域商社開業 取締役COO就任
2024年7月
一関市起業支援推進会議委員

EPISODE

学生会活動が鍵に 挑戦への支援に感じた可能性

起業したきっかけを教えてください

 コロナ禍で、私の通う一関工業高等専門学校では2020年に授業が半年間オンラインに変わりました。翌年に通常授業に戻ったのですが、これまで先輩から後輩への引き継ぎで行われていた体育祭や文化祭の運営などは引き継ぎがなかったこともあり、学生会に一任されました。
 学生会長だった私は、「これは前例主義ではなく、時代に即したものに変えていくチャンスだ」と思い、それまでの学生会のあり方を見直し学生の自己実現を支援するコブシプロジェクトを立ち上げ、ここからビジネスの可能性を感じたことが起業のきっかけです。
 現在、一関高専には6社の学生企業が存在していますが、このうち二つはコブシプロジェクトが関わっています。
 学生の起業で多いのは、自分の持つテクノロジーを売るものです。しかし、ツールやプロダクトは、作れる人がたくさんいます。AIや自動化が進展してもユーザーが人である限り、無限にあるテクノロジーを使いこなして事業者と一緒に創造できる人材が必要なのではないかと考え、あえて様々なものを扱えるコンサルタント業を創業しました。

EPISODE

伴走型支援、まちづくり 幅広いコンサルに対応

現在、Next IWATE、一般社団法人デジタルラボ一関、株式会社東北地域商社の経営に関わっていますが、それぞれの事業内容を教えてください

 どの会社も事業はコンサルですが、内容やジャンル、規模によって分かれています。Next IWATEは、従来の報告書タイプの経営指導や調査資料を求めるコンサルではなく、事業者の参謀として一緒にやっていく伴走型支援が基本になっています。例えば、お客様がSNS発信をやりたいときに、どうすれば内製化できるかの支援をするのが我々の仕事です。
 一関市と一緒に訪問型のスマホ教室などもやっています。一人で家にいる高齢者や足腰が悪くて動けない高齢者こそデジタルを享受し、社会と繋がってもらう意義が大きいと考え、集まってもらうのではなく訪問する形の事業を展開しています。
 デジタルラボ一関は、地域事業者のDX支援をする「まちのIT屋さん」です。無償のクラウドシステムの支援などができるように、一関市を巻き込んで一般社団法人を作り、同市の地域おこし協力隊も参画して、地域事業者のゼロイチのDX支援を行っています。
 東北地域商社は、Next IWATEで扱うよりも規模の大きなまちづくり系の案件や首都圏と一緒に行う案件などを事業展開しています。

EPISODE

請け負う基準は熱意 共に味わう達成感が喜び

資金面や相談など、起業に向けて行った準備を教えてください

 開業時は、特段の資金を用意しませんでした。コンサルなので事務所も必要なく、当時は一人でやっていたので赤字という概念もなかったです。資金調達をしたのは2024年8月でした。業務で様々な銀行と連携するため特定の銀行を選ぶわけにはいかず、政府系の金融機関である日本政策金融公庫から借りました。
 起業の際には一関商工会議所や一関市、一関信用金庫などにアドバイスをいただきました。学生団体の時のつながりがあったから相談しやすかったです。逆に言えば、人脈がないまま起業をしようとする人は大変だと思います。そういう人のため、情報を統一した方がいいという話を起業後に支援機関の方々にしました。
 先輩起業家には、財務や申請の仕方は聞きましたが、いわゆる経営の作法は一切聞いていません。その人と同じようにしかならない、あるいはその人だから成功している部分があるからです。私は人の意見も本と同じだと思います。自分の判断材料として、たくさんの人に起業前にお話をお伺いしましたが、実際は全部独自の手法でやっています。

事業を行う上で譲れないと思っていることは何ですか

 我々のコンサル料は、普通に見れば安い金額です。誰でも使ってもらえる金額だからこそ、本気で困っていて、やりたいという熱意を持っているお客様としか仕事をしないようにしています。例え会社の経営状況が悪くなったとしても、お金だけ渡してくるようなところとは一切仕事をしないということがポリシーです。

失敗や苦労された体験、成功体験を教えてください

 失敗は、開業当初に案件の資金回収が滞ったことです。当時は税務や法律が分からない部分もありました。だからこそ今は銀行と提携して契約書も全部見てもらっています。
 学業と仕事のダブルブッキングをしてしまったこともありました。最終的には、お客様を優先しましたが、最初のころはお客様にスケジュール調整でご迷惑をおかけしました。
 我々はお客様のパートナーとしてやっているので、感謝をされるよりは一緒に達成した喜びを味わえるのが成功体験と言えます。想定したKPIを大幅に達成した時、お客様と信頼関係が築けて本音を聞けたときがうれしい瞬間です。

EPISODE

今後も地域を拠点に 若者の受け皿となる

今後の事業の展望について教えてください

 私は3月で一関高専の専攻科を卒業しますが、これまでと変わらず、一関を拠点に事業をやっていきます。これまで選択肢を増やしたい思いからあえて個人でやってきましたが、事業規模の拡大に向けた株式会社化を進めています。事業面では、ほかの業種の経営は一切せずに、今のサービスを磨いていき、手掛けられるコンサルの幅を広げていきたいです。
 メンバーも現在は11人ですが、20人くらいまで増やしていきたいと思っています。仕事がなければ若者が岩手に残らないし、来ないです。やりたいと思える仕事をわれわれが作り、Uターン、Iターンを含めて、本当にやる気がある若者の最初の受け皿になりたいです。

EPISODE

統一した情報発信必要 ぶれない信念が大切

起業家にとって岩手県はどんな地域ですか。また、どんな支援があればさらに起業に結び付くと思いますか

 間違いなく岩手は挑戦しやすい地域です。情報は東京の方が新しく、多いですが、岩手は意外と新しい挑戦に対して寛容だと思っています。色々と言ってくる人もいますが、それ以上に応援するムードがあります。
 応援する様々な機関が行っていることに関する情報を整理し、それぞれの起業家が最適な情報を自ら探し、取得できる仕組があるとさらに起業がしやすくなると思います。これから起業を目指す人、起業して2、3年目の人、起業して10年目で事業転換を考えている人、そういう人に向けて信用や安心感がある行政が、民間企業と組んで確かな情報を発信することが大切です。

これから起業を目指している方にアドバイスをください

 学生起業家に多い傾向として、仲間がたくさんいるからと20人、30人で始めるケースがありますが、小さく始めて軌道に乗ってきたら人を増やしていくべきです。今、起業はすごくしやすく、特に学生起業というだけで支援は手厚いものがあります。だからといって、金銭的な支援に目がくらんでしまうのではなく、自分の信念を曲げずにやるということが一番大切です。

会社情報

会社名
Next IWATE
設立
2023年1月6日
代表者
代表 上野裕太郎
所在地
〒021-0902 岩手県一関市萩荘字高梨南方114-4 一関市研究開発プラザ研究室F
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