スタートアップいわて

INTERVIEW

インタビュー

誰もが活躍できる場所目指し起業
花巻市で「ぼうまい村」を整備中

株式会社HUG
代表 坊迫舞香さん(31)

滋賀県出身

経歴

2021年9月
花巻市の地域おこし協力隊就任
2023年1月
株式会社HUG設立

EPISODE

夢の実現に向け花巻市に移住 村づくりに取り組む

起業したきっかけを教えてください

 学生時代に海外留学を経験し、多様な価値観に触れてかけがえのない経験をした半面、日本に戻ってからの就職活動にはなじめず、1年半ほど海外で通訳の仕事をした後、東京の地方創生関係の仕事をする企業に就職しました。
 仕事でさまざまな地域に行く中で、初めて訪れた花巻市にすごく魅力を感じました。私がイメージする日本の良さである素朴さや滋味深さなどが残っていたのです。小さいころから描いてきた村のようなコミュニティーをつくりたいという思いを地元の人に話すと「ここでやればいい」と言ってくれました。ここなら夢が実現できると思い、移住を決めました。
 その後、花巻市の地域おこし協力隊員になりました。選考の際のプレゼンでも村をつくりたいですと言って採用され、村づくりを中心に様々なイベントに携わり、農業にも少し取り組みました。2023年に株式会社HUGを設立し、今は田瀬湖畔に「ぼうまい村」をつくっています。
 私は親も祖父母もそれぞれ自分のビジネスをやっている家庭だったので、やりたいことをやるのが普通の環境でした。だから起業に対するハードルは高くありませんでした。目の前にやりたいことがあり、やろうと思えばできるのにやらない選択肢はなかったです。

坊迫さんが考える村とはどういうものですか

 私の考える村は、最小のコミュニティーです。当初描いていたビジネスモデルとは変わった部分もありますが、食べて、遊べて、泊まれる、そしてそこに仕事が生み出され、暮らす環境が整っているところを目指していきたいです。
 私のように型にはまった人生はつらいと思っている人やレールにうまく乗れずに苦しんでいる人は結構いると思います。その人たちも平均点は取れないかもしれませんが、自分が得意なことはすごくできるはずです。「ぼうまい村」では、みんなが特技を生かし、できないところを埋め合うコミュニティーができたらいいと思っています。

EPISODE

音楽フェスや農業体験 古民家を宿泊施設へ改修

取り組まれている事業の内容を教えてください

 地域おこし協力隊に着任して1年目は、100人くらいを集めて音楽フェス「10hectareclub(テンヘクタールクラブ)」を開催しました。きっかけは地域おこし協力隊の1年目の集大成に何かやりたいとの思いからでした。私が魅力に思った岩手を詰め込んだフェスで、地元のバンドや神楽などを呼んでやりました。
 ほかにも農業体験や古民家のリノベーション体験などをやっています。庭に野生のホップが生えているのを見つけたことがきっかけでホップの栽培も始め、2022、2023年には栽培したホップを一部使用した「ぼうまいビール」も醸造会社に委託して造りました。
 現在は、古民家を宿泊施設へ改装中で、一棟貸しというスタイルでやろうと思っています。泊まるだけではなく自然のツアーや文化を体験したり、複合したアクティビティーが楽しめたりする施設を造っています。

EPISODE

地方創生の補助金に応募 考えるより一歩踏み出す

起業に向けてどんな準備をしましたか

 会社の運営資金は、ローカル10000プロジェクトの補助金と日本政策金融公庫からの融資で古民家の改修費用に充てました。ローカル10000プロジェクトは地方創生の補助金で、自治体が国に対して申請するものです。応募を希望した際には、花巻市起業化支援センターと市役所の担当者が親身に相談に乗ってくれ、採択に至りました。
 普段からいろいろな場所に出向き自分がやりたいことを発信し続けたことも準備の一つです。地域おこし協力隊の活動について話を聞きたいと言われることも多く、それは断らずに受けてきました。補助金の話が通りやすかったのも、常日頃から活動を発信し続けていたからだと思います。

ご自身が譲れないと思っているビジネス哲学はありますか

 考えるよりもまず動くことです。そのためには考えながら動き出すようにしています。私の中では、一歩を踏み出すという行動は、考えるという行動に含まれています。二歩目からはもっと頭を使ってやるのですが、一歩踏み出すまでは思考の中とイコールなので、この一歩を踏み出すまでがすごく早いです。人から言われていいと思えば、次の日には何かしらのアクションを起こします。
 いつも自然体でいることも大切にしています。起業を選んだのも自分が楽しいことが一番の原動力になるので、そのためなら何でもできる感じがしたからです。苦手なことを一生懸命やっても、それが得意な人にはかなわないと思います。私は自分が得意なことを一生懸命やろうと思っています。

起業後の成功体験や失敗体験、苦労したことがあれば教えてください

 成功はまだしていないと思っています。でも成功するまでやるので失敗もないです。起業して良かったと感じるのは、毎日自分が楽しくやれていること、やっていることがすべて自分の成果になることです。失敗もすべて自分に降りかかってきますが、様々な経験を糧にしてイベントでの集客に成功した時など、楽しさだけでなく自分のためになっていると感じる機会が増えました。去年よりも今の方ができることが増え、成長を感じられています。
 苦労したことは、やはり金銭面です。始めは金融機関に行っても、門前払いではないですが、テーブルにも載っていない感じがしました。それは私に実績がなかったからです。イベントを開催したり、補助金を見つけたり、実績をつけて改めて融資の相談に行き、話を聞いてもらいました。

EPISODE

食べて、遊べて、泊まれる場所 ぼうまい村を実現

今後の事業の展望について教えてください

 ぼうまい村で、一棟貸しとして宿泊施設をやっていくことです。ホテルとの差別化でプライベートを重視し、独り占めできるような空間を提供して、食べて、遊べて、泊まれる場所にしていきたいと思っています。
 「食べる」の部分では、この地域はポテンシャルがあり、いろいろな畜産物や農作物を花巻産で揃えることができます。食材とレシピを用意してお客様に作っていただくスタイルで提供したいです。「遊ぶ」の部分では、私自身がすごい自然遊びが好きなので、花巻、岩手の自然を感じられるツアーをやりたいと思っています。

岩手県は起業をする上でどんな地域ですか

 資源という部分では、豊富にあると思っています。自然が豊かだし、文化も神楽や獅子踊りなど特別なものがたくさんあり、それが人々の暮らしに近いと感じます。それだけにビジネスチャンスもたくさんあると思います。
 私は花巻市起業化支援センターなどを利用していますが、支援体制も整っていると思います。提出物の期日などが結構ルーズな私にリマインドをしてくれたり、要綱の内容に書類が沿えているかを確認してくれたり、すごく助かっています。
 人と人の距離感も近すぎず、遠くから見守ってくれている感じがします。それでいて困った時に相談をすると、全員がすごく真摯に相談に載ってくれるのは岩手県の県民性なのだと思います。本当に自分のことのように真剣に考えてくれるのがありがたいです。

EPISODE

起業にハードルはない まずはチャレンジを

これから起業を目指している方へのアドバイスをお願いします

 起業をすること自体は簡単ですが、継続してお金を得ること、長く続けていくことは大変です。世の中の動きが速いので、続けていくことが100パーセント正義とも限りません。ただ、宝くじは買わなければ当たらないように、起業してみないと分からないことも多いです。まずはやってみればいいと思います。起業にはハードルはないし、駄目ならばサラリーマンに戻ればいいだけです。つらいことや嫌なことがあったとしても、自分がやりたいから選んだと思えば頑張れます。

会社情報

会社名
株式会社HUG
設立
2023年1月16日
代表者
代表取締役 坊迫舞香
所在地
〒028-0123 岩手県花巻市東和町田瀬10区150
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